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2022年3月31日 RiBi ニュース

OB Interview 目黒俊佑さん

2022年3月31日

苦手なこと、好きなことを見極めたら辿り着いた海外での夢の舞台。

目黒俊佑(31歳) ※2022年学校パンフレット取材当時
2011年美容科卒業
県立新潟商業高校出身
ヘアスタイリスト(ロンドン)

<Profile.>
東京でサロン勤務経験後、2人の師匠の下で修行後、単身ロンドンに渡る。クリエイション活動と作品の発信を積極的に行い、1年という短い期間でエージェント契約を獲得。VOGUEの表紙や、パリコレのショーモデルを手掛けるなど、華々しい舞台で活躍する。今後さらなる活躍が期待される。

Q.現在の仕事の内容を教えて下さい。

A.イギリス・ロンドンで、クリエイション中心のヘアスタイリストとして、ファッション誌を中心に、ショーや広告などを手掛けています。主にウィッグやヘッドピースを創作して、モデルに取り付けてアレンジするようなクリエイションが自分の作風です。

Q.代表的な仕事としてはどんなものがありますか?

A.雑誌だと『VOGUE』ポルトガル版の表紙、パリコレだとCHRISTIAN DADAのショーモデルのヘア。広告だとTHOM BROWNEの香水の欧州キャンペーンなどに携わらせてもらいました。『VOGUE』は、はじめから表紙と聞かされてたわけではなくて。特集ページの作品をいくつか出すんですけど、発売されたら「表紙じゃん!!」って。本当に驚きました。

—どんな学生時代を過ごして、どうやってロンドンにたどり着いたのか聞かせてください。まず、学生時代はどんなことを頑張っていましたか?

授業は好きだったんですけど、自分より上手い人がたくさんいて、自分の手先の器用さはこんなものかと知りました。それで早い段階で就活を頑張ろうとアタマを切り替えました。プライベートでは古町のフォトスタジオに出入りしたり、洋服屋さんに通ったり、クラブで遊んで、カッコイイもの、イケてるものをたくさん教わりました。当時、芸術を教えてくれていた近藤先生のアトリエに遊びにも行かせてもらって芸術、とくに建築を教えてもらいました。

——東京のサロンに就職したんですよね?

表参道にある人気サロンに就職して、1年目は雑用係、2年目以降は毎日モデルハントしてました。少しずつ業界誌の人と知り合って、個人的に撮っていた作品を見せたりしていました。ある日、人気業界誌の編集長が一緒に表紙をやりたいって言ってくれたんですけど、編集部内でアシスタントが表紙をやるなんて敷居が下がるからダメだと。残念ながら実現しませんでした。やっぱりサロンでの下積みからなのかと。なんか納得できなくて。自分にサロンワークは向いてないって自覚があったので、このままじゃ壁は越えられないと思ったんです。『FASHION NEWS』という雑誌を見て、「この人に学びたい」という人を見つけて、作品を送り続けました。何とかアシスタントとして、道具の管理やショーモデルの時間管理とかさせてもらうことになったんですが、力及ばず1年くらいでクビになりました。それから別の人についたんですけど、その人も1年でクビ。「君はアシスタントとしてスキルを積むよりも、自分でやった方が芽が出るタイプだよ」って言われて。サロンワークもアシスタントも向いてないことは薄々気づいてたんです。このままじゃダメだって。それで、もう海外行くしかないなって。海外のことは1人目の師匠からも聞いていました。「若いうちはフランスよりロンドンがいいよ。マガジンが多いから」って。二人目の師匠からも「ロンドンはいいよ」って言われていたんで「そっか、ロンドンか」と行くことにしました。

——もっと順風満帆な経歴かと思っていました。

いやいや、挫折の連続ですよ。RIBIに入って自分の手先のレベルを自覚したときからずっとそうですよ。でも、自分の苦手なことと、好きなことを早くに自覚できたから、逃げるという表現は違うかもしれないんですけど、他にどんな方法があるか?って常に考えるようになれたんだと思います。

—それにしても、渡英して1年でチャンスを掴むのは実力があるからだと思います。

ロンドンに行くと決めたときからエージェントに入ることが目的でしたから。仕事もできないしビザも続かないので。ロンドンに行って、とりあえずインスタでメイクアップやカメラマンのクルーに「作品撮りしよう。テストしよう」ってメッセージを送りまくりました。多分、ヤバいやつだと思われてたはずです。メッセージ送っといて英語は喋れないし。

——日本と違うところは、どんなところですか?

なんといっても実力主義ですね。作品が良ければ他はあまり気にしない。例えば、日本だとすぐ経歴を聞いてきますよね。「どんな師匠の下でどれくらい修行してたのか?」とか。ロンドンはそういう話にならない。それより今どんな作品を作っているのか?どんなものが作れるのか?にフォーカスされます。だから、日本で挫折ばかりしてきた僕でも、ロンドンでは作品づくりだけで勝負できたんだと思います。SNSのおかげで世界的にはそういう流れが主流になっていますよ。

——最後に、今後の展望を。

まずはロンドンで上がれるだけ上がりたいです。そしてマガジンとかファッションなどの依頼された仕事じゃなくて、自分自身がクライアントとして自由に作りたいものを作れるクリエイション活動をやれるようになりたいです。